『AAの社長は真夜中にパンツ一丁で仕事に励んでいる』という噂が取引先の間で流れていると俺が教えると御堂は真っ赤になって怒り出した。
「何だそれは!」
「さあな。とにかく、耳にしたら聞き流せ」
「当たり前だ。そんな馬鹿げた噂!でも……だがどうしてそんな噂が……君は……その……ここでアレの時も……君は……脱いだりなんか……」
 だんだん小声になりながら御堂は怒りではなく羞恥で真っ赤になっていった。伏せた睫毛の奥の瞳がしっとりと潤んでいる。まるで誘っているようだ。いや、誘ってるに違いない。俺は御堂の尻に手を伸ばした。
「バカ、よさないか!仕事中だぞ!」
 だが、俺の手はいつも通り容赦なく払い除けられ、御堂は2メートル先に遠ざかっていった。そして俺の勃起中枢を刺激する魅惑の眼差しできつく睨み付けてくる。
 思わず舌嘗めずりをすると御堂は「君が変に色っぽいから、そんな噂が立つんだ」と少し上擦った声で囁いて横を向いた。目の前に晒された白い首筋が眩しい。
「色っぽいのは貴方ですよ」
 それに……パンツ一丁も。
 御堂の首筋に舌を這わせる様を夢想しながら俺は心の中で呟いた。
 噂の原因が下着一枚の男が事務所にいるのを見られたせいなら、下着姿は俺ではなく御堂だろう。恐らく顔がはっきり見えなかったから『社長は……』になったのだ。
「……次からはブラインドを降ろすか……」
 御堂の半裸を誰かに見られたかも知れないと思うと苛つく。舌打ち混じりの俺の囁きを拾って御堂が眼を丸くした。
「!?君は夜中に下着一枚でここで仕事をしているのか!?」
「そんなわけないでしょう」
「君は変態だからな。まさかと思うが、もしかしたらと……。とにかく君の日頃の仕草や眼つきが……」
 御堂は噂のパンツ一丁が自分では?と露ほども思わないらしい。そういうところが迂闊で隙だらけで可愛い。
「御堂」
 俺は距離を詰め、逃げようとする御堂の腕を取ると強引に抱きすくめた。耳元に口を寄せ「パンいちは貴方の事かも」と囁いてやろうかと考えたが、事務所でやるのを完全に拒否られては堪らないから黙って耳に舌を挿し込んだ。

2作目。前作より長いけどまだまだ短い……orz
脳内ではこの後のセックスまで妄想しました(*´ω`*)