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攻めと受け

攻め受け御堂孝典

size 1049×744
date 2020/09/29

出られない部屋

野球拳!

漫画 全22ページ
size 875×1240
date 2020/09/29

サニーサイドアップ

サニーサイドアップ

漫画 1ページ
size 875×1240
date 2020/09/29

嵐

SS 御堂視点
嵐の夜に…
監禁中のお話

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御堂孝典生誕祭
鬼畜眼鏡10周年記念

 灯りを絞ったベッドルーム。開け放ったカーテンの向こうの夜空は真暗だった。雨のせいなのか空調が効きすぎて僅かに肌寒い。

 シャツだけを身に纏った私は壁に取り付けられた拘束具に両手を上げた格好で捕らわれていた。立ち上がることはできず、フローリングの床に剥き出しの尻をつき、足を前に投げ出して座っている。
 雨が窓を叩く音が強くなった。窓際に佇んでいた佐伯がゆっくりと動き出す。彼が私の前で立ち止まったとき、ひときわ眩しい光が部屋を照らした。その直後の腹に響く轟音に我知らず身を竦ませる。
「雷が怖いんですか?」
 佐伯が笑いを含んだ声で問いかけてきた。
 逆光で表情はよく見えない。背後から灯りを受けた眼鏡のフレームが銀に光っていた。滲んで見えるその光はフレーム自体が発光してるかのようで不気味だった。
 また、鋭い光が差し込んで低い音が轟く。私は俯き、四肢をできるだけ縮こめた。激しい光と音は今の私には刺激が強すぎる。
「雷が怖いなんて、子供ですか? それより、御堂さんの場合は罪深いがゆえ……が似合いますね。雷は神の怒り、罪人を裁く武器だそうですよ」
「罪……」
「性的な接待を持ち掛けて、俺を辱めようとしたでしょう?」
 確かにそうだった。では佐伯による監禁は私の罪への罰なのか。私は顔を上げ、雷光に目を眇めながら佐伯を見た。光に瞬間、浮かび上がった佐伯は冷笑を浮かべていたが、私を見下ろす双眸には苛立ちが宿っていた。
「君が欲しいのは私の謝罪か」
 開放されるのなら、頭を下げてもよいと思った。己の罪を認め謝罪するのは、佐伯に屈したことにはならない。しかし謝罪する私は佐伯から見れば屈したと見えるだろう。佐伯の望みを叶えて誇りを保ったまま事態を終わらせることができる。妙案だと私は思った。
 だが、佐伯は哄笑で答えた。突然、笑い出した佐伯に私は驚愕した。
「あんたは馬鹿か……! 謝罪だって?」
 身を捩って笑う佐伯の姿を雷光が縁取り、笑い声に雷鳴が重なる。
 狂気じみた佐伯の振る舞いと初秋の嵐が私を酷く怯えさせた。私の提案は間違っていたのだ。佐伯は怒っている。私は怒りに任せた佐伯に殺されるかも知れない。佐伯はまともではない。きっともう狂ってしまっているのだ。佐伯は狂っているのだ。
 佐伯に対する恐怖で私も気が狂いそうだった。
「あは……はあ……」
 笑いを止めた佐伯が私を見た。薄闇の中で表情はやはり見えない。
 鋭い雷光がまたしても空を切り裂き、私は目を閉じた。耳も塞ぎたかったが、手は自由に動かせない。凄まじい音と振動に私の唇から小さな悲鳴が上がった。
「近くに落ちたかな……」
 ひとりごちて窓際に移動した佐伯はカーテンを引いた。厚い布地が雷光を遮る。防音効果も多少あるのか雷鳴が遠くなったように感じた。
「雷、本当に怖いんですね」
 大人になってから雷を怖いと思ったことはなかった。本当は怖くないはずなのにどうしてこんなに怯えているのか。いや、私の恐怖の対象は雷ではない。佐伯だ。
 佐伯の足音が近づいて、私はますます身を竦ませた。
 恐怖で固まったままの私の足首を佐伯が掴む。足の間に身体を滑りこませた佐伯は私の尻を持ち上げると、前触れもなくペニスを私の尻穴にねじ込んだ。痛みは感じない。怯えすぎているのか快楽も来ない。数回身体を揺らしただけで、舌打ちをして佐伯は私から自身を抜いた。
 乱暴な手つきで私の両足首に拘束具を付け始める。手首の拘束具の鎖を壁から外し、足首の拘束具に繋いだ。私は膝を曲げ、背中を丸めた格好を取らされる。横から肩を強く押されて音を立て床に転がされた。息苦しい。粗暴な態度に佐伯の怒りを感じる。殺されるのだ。恐怖でガタガタと震えだす身体を止めることができない。
「寒いか……」
 小さな呟きが聞こえ、柔らかな感触が身体を覆う。清潔な香りのする優しいぬくもりが私を包んだ。どうやらタオルケットのようだ。
「雷はすぐに遠くなりますよ。御堂さん」
 佐伯の低い声が遠ざかって、ドアを閉じる音が響いた。部屋は忽ち静かになった。雨音も雷鳴も佐伯の息遣いも聞こえない。嵐と佐伯の気配が消えて殺されるという恐怖も消えて行く。

 静かな薄暗い部屋の中で私は声を上げぬよう、タオルケットを噛んで少しだけ泣いた。

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